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「はあぁぁぁぁ……」
「おっきい溜め息だねましろ。幸せ逃げちゃうよ」
「あっはっは、逃げろ逃げろー! 元からさしてHappyでもねぇんだからよぉ」
「……何かあったの?」
あったんだな、コレが。
困惑した表情のひーちゃんにへら、と笑みを向ける。ごめん八つ当たりみたいなのして。
昨日の幽閉事件。助けてくれたのは美人さんこと麗だ。凄く嬉しかったし、感謝だってしてる。なのに何で私はあの時もやっとしたんだろう。
今日先輩と会って、何で更にもやっとしたんだろう。何で先輩のことでこんなに煮詰めているんだろう。
「あー……」
先輩のことなんか、どうとも思ってないはずなのに!
「山城いるかー」
「キャアアア北城先輩よ!」
「今日もかっこいいわね……」
……何故来た!
えっえっえ? 何で、何で教室着てんの!!
私は咄嗟に机の下に潜り込んだ。頼むから早く退却して! 今無性にいつも以上に関わりたくないんだ!
「なーにしてんだ山城」
「……避難訓練、を」
あっさり見つかった。
ずるずると机の下から引きずり出され、私はむすっとそっぽを向いた。
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