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先輩は私の様子を窺うようにひらひらと生徒手帳を振って見せる。
「さて、何ででしょう?」
ニヤリと悪戯っぽく笑う先輩に、私はむぅと考え込む。
そうして私の導き出した答えは……
「……先輩、ダブってるんですか?」
だった。
先輩はぴたりと動きを止める。ありゃ、言わない方がよかったかな、気にしてたかもしんない。
「……ぶっ」
……かと思いきや、先輩はいきなり吹き出すと、仕舞いには腹を抱えて爆笑。
「?」
訳がわからない私に、先輩は未だヒイヒイ言いながら手招きする。
仕方なく近付く。
「おっまえバカだなぁ!! この俺様がダブる!? しかも二年も!?」
「……」
「名前、見てみろよ」
言われて、生徒手帳を覗き込む。
いち、ねん、ごくみ……。やましろ、ましろ。
ん?
「お前のだよバーカ!!」
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