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「じゃ、今日のところはもう行くわ」
「……」
くるり、と背を向けて歩いていく先輩を睨み殺さんばかりに睨んでみる。
だけれど不意に振り向いた先輩に、思わず間抜けな顔を晒してしまった。
「その生徒手帳、どこで拾ったと思う?」
「……?」
「カラオケボックスの、男子便所の前」
「!?」
う、え!?
いきなり何を言うのかと思えば何なんだこの人!?
「ばっちり見てたぜ? 間違えて男子便所入って慌てて出てくトコ」
「――!!」
み、見られてたのアレ!?
確かに半ば無理矢理に連れてかれたカラオケボックスで便所間違えてめっちゃくちゃ慌てましたけども!
あの時落としてたのか……!
「じゃーな。学校では間違えんなよ」
「間違えませんっ!!」
そう怒鳴ると、ケラケラ笑いながら先輩は行ってしまった。
こんなのが、わたしとせんぱいの出逢い。
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