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「じゃ、頂こう」
「うん」
二人はグラスを互いに向け合い少し上げて、そのまま傾け、小気味よく喉元へ流し込んだ。
「おいしい!とても飲みやすいわ」
「そう、よかった」
「うん、オレンジの甘みとシャンパンの酸味が心地よくて、飲みすぎちゃいそうね」
どうやらお気に召したようで、彼女は少しはしゃいでいる。
「これ、気に入ったわ。ミモザって・・・いい名前ね」
「君にとっては想いいれがあるからね。よかったよ、気に入ってもらえて」
僕は素直にそう思った。
「ええ、そうね本当に・・・、ありがとう」
こちらを見てグラスを片手に微笑んでいる。
フルートシャンパングラスが本当によく似合う。
僕はグラス半分ほどになったミモザをテーブルに置くと、煙草に火をつけ、辺りを見回した。
BAR内は少し込み合ってきており、誰かがリクエストしたのだろうか、女性ヴォーカリストが曲名を紹介し、名曲、アンフォゲッタブルが流れ始めた。
二人は勢いよくグラスを空けると二杯目のミモザを注文し、暫し曲と夜景に没頭した。
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