序章 風の祓魔師

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今夜は風が強い。 一人の女性がそんなことを思いながら夜道を歩いていた。 「寒いわね、風のせいかしら?」 妙な寒気を感じた女性は早く帰りたいのか、自然と足早となる。 すると、彼女の後ろでバチバチッと火花が散った。 「な、何!?」 女性は後ろを見て驚いた。 何もないはずの空間から火花が散っていると思ったら、空間に亀裂が走りガラスのように割れたのだ。 割れた空間から這い出るように人外の化け物が現れた。 「きゃあぁぁぁぁ!」 女性は走った。 自分の命を守るために、少しでも化け物から離れるため必死に走った。 だが、その努力も虚しく化け物は女性の頭上を飛び越え、女性の目の前に来た。 化け物は女性にゆっくりと近付く、女性は持っていたカバンやヒールを化け物に投げつけ、気をそらそうとした。 「グオォォォ!」 化け物は腕を振ってカバンを弾いた。 女性はそれに巻き込まれ、路地裏に吹き飛ばされた。 「グゥゥゥ……」 化け物はゆっくりと女性の方に向かい、路地裏に入った。 女性は吹き飛ばされた時にケガをしたのか頭と足から血が出ていた。 足の激痛のせいで女性はうまく立つことができず、逃げられなかった。
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