第一章

11/44
前へ
/198ページ
次へ
肝試しが終わり、男女別々のログハウスへ。   『夜中に抜け出したりしないように』   先生が忠告をしに。   『任せて下さい。俺が見張っておきますから』   カツミが嘘臭く言う。   先生はそのカツミの言葉を信用したのか笑顔で『おやすみ』と言ってログハウスを後にした。   多分、信用したのは先生だけでクラスの男子は誰一人カツミを信用するハズがなかった。   深夜0時、男どもは寝る気配はない。   だけど俺はタカシがアユミに告白する事を知っていたので気を使ってタカシ以外を呼び、トランプをして遊んでいた。   『俺、ちょっとトイレに行って来るね』   多分タカシが俺に出したGOサインだったんだろう。   『変な人に声掛けられてもついていったらいかんけね』   俺はタカシの緊張の糸をほぐすために冗談を言って見送った。   それからどのくらいたっただろう。   俺とカツミ以外は皆、寝てしまっていと、タカシはまだ戻って来ない……。   きっと頑張っているんだと思い、タカシを待ち続けた。   その間、俺とカツミはずっと話しをしていた。   『ユキさぁ、今好きな女子おらんと?』   『分からない。多分いないよ……』   俺は何故か意味不明な返事をしてしまっていた。   『カチャッ』ログハウスのドアが開く音に俺とカツミは目をやった。   そこにはさっきまで泣いていたんだと思うぐらい目を真っ赤にしたタカシの姿が……。   俺とカツミはそんな表情のタカシに声を掛けてやれずに寝たフリをしてしまっていた。   カツミも多分、何があったのか分かっているハズ。   だから一緒に寝たフリをしてくれたんだと思う。   今日、話しを聞くのはやめよう。   そう思いそのまま眠りに就いた。
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1735人が本棚に入れています
本棚に追加