第一章

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       涙   俺らは、キャンプ解散した後、地元のカラオケBOXに向かっていた。   アユミはタカシの自転車の後ろに座り、周りから見ればカップルにしか見えない。   俺はその様子を後ろからずっと見ながらついて行った。   この時も、俺は変な感じがしていたんだ………。   本当にアユミに対しての特別な感情はなかったのに。   実は、3人でカラオケなんて初めてで少し緊張していたんだ。   人前で歌うなんて、音楽の授業だけと思ってたし、ましてやマイクにむかって歌うんだから。   『ユキ君、何歌うん?』   アユミからのいきなりの質問に俺は   『ん~知ってる曲は歌うかな?』   カラオケに行った事なんて数えきれるぐらいなのに俺は何故か見栄張ってた………。   『タカシは何歌うと?』   俺は自分からの話題を直ぐ様タカシに切り替えた。   『俺?ブルーハーツとかかな』   タカシはなんてノリのいい曲を歌うんだなんて俺は少し感心していた。   『アユミは?』   タカシが嬉しそうにアユミに問いかける。   俺も気になって笑顔で聞いていた。   『私は華原とか安室かな』   今時の女の子の答えにただただ笑っていた俺とタカシがいた。   今思えば、当時のあの笑っていた俺とタカシは、周りから見れば気持ち悪かったなぁ………。   話しながら向かっていたのでカラオケBOXなんてあっという間に着いた。   今でも忘れない………部屋は一階の103号室。   俺らの大切な思い出の場所。
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