第一章

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『さぁて、誰から歌う?よっしゃ、ここはじゃんけんで』   順番決めでじゃんけんはどこに行っても同じ事。   タカシが『最初はグー』いきなり言ってきたので俺とアユミはそれにつられて『じゃんけんぽんっ』   昔からやってる事だから体が勝手に反応してしまう。   順番はタカシ、俺、アユミと決まった。   タカシは早速、ブルーハーツの『リンダリンダ』を熱唱している。   俺とアユミはタカシの歌に口をポカーンと開けていた。   タカシはお世辞も言えないぐらいの下手くそだったから……。   それでも俺とアユミはノリノリで聴いていた。   次は俺の番、Mr.Childrenの『シーソーゲーム』を熱唱。   2人はちゃんと聴いてくれている。   俺は一生懸命歌った。   アユミは華原朋美の『I'm proud』を………。   俺とタカシはアユミの歌う姿に聴き惚れていた。   でも徐々にアユミの声が小さくなっている。   俺はアユミの顔を見ておどろいた。   泣いている………。   アユミの瞳から涙が流れている……。   タカシも俺と同様におどろいていた。   アユミは歌の途中で部屋を飛び出してしまっていた。   『えっ?アユミどうしたん?』   俺はタカシに聞いた。   だけどタカシは何も言わない。   しばらくするとタカシが   『ユキ、行ってやってよ』   『何で?タカシが行かな意味なくなるやんか』   俺はタカシに強く言ってしまった。   『ユキが好きなんだって……アユミ………。昨日、アユミの口から直接聞いた』   『えっ?嘘だろ?』   俺は戸惑っていてこれ以上声が出なかった………。   『だから今日はユキが行ってやってくれよ。俺にはどうにも出来ないから』   タカシが真剣な顔で言ってくる。   俺はタカシの言ってる事が理解できなかった。   それでもとりあえず俺はアユミの所へ行った。
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