第三章

43/45
1735人が本棚に入れています
本棚に追加
/198ページ
次の日、終業式が終わり俺は急いで家に帰ってから私服に着替えてアユミとの待ち合わせ場所へと行ったんだ。   俺は気合いを入れてアユミが来るのを待っている。   『ユキ~!!お待たせ。早かったね!!』   俺は例年通り、待ち合わせ1時間前に着いていたんだ。   『いや!!俺も今来たとこだよ!!さっ、今日はたくさん楽しもう!!』   『うん!!一杯楽しむ~!!』   俺はアユミの手を握り、バス停まで行ったんだ。   『相変わらずユキの手はあったかいね!!人間ホッカイロじゃん!!』   『まぁね!!アユミの手を暖かくするための手やけね~!!』   俺はそう言うと両手でアユミの手を包み込む様にして暖めていた。   『あったか~い。ユキの手は魔法の手だね!!あっ!?バス来たよ!!』   アユミが笑顔で言ってくれている。   俺は嬉しくてアユミの手をギュッと握っていたんだ。   バスに乗り込み、約1時間ほど揺られて福岡の中心都市、天神に向かった。   バスの中で俺はアユミの肩に頭を置き、目を瞑ったまま話しをしていた。   『こうやってると落ち着くんだよね。何もかも忘れられるよ!!』   『ユキ!!普通逆じゃない?私が寄りかかるでしょ!!ほんと可愛いんだから!!』   アユミが俺のおでこに人差し指でツンツンしながら言ってきた。   『普通はな!!でも今日は俺がすると!!アユミが好きだから』   『もう、しょうがないな~!!今日だけだよ!!』   アユミは笑顔で頭を撫でてくれていたんだ。   バスは天神に着き、俺とアユミは降りてから歩いて映画館まで行っていた。   クリスマスイヴとだけあって周りにはカップルばっかりだった。   映画館に着き、チケットを買って中に入り、上映されるのを待っていたんだ。   『ユキ、今日はちゃんと映画観てよね!!』   『えっ?分かってるって!!ちゃんと観ますよ!!』   俺は映画を観る気は全く無かった………。   どんな映画よりもアユミを見ていたかったから。   映画が始まり、俺は集中してるふりをしてアユミの事ばかり見ていたんだ。   アユミも俺の方ばかり見てくれていた。   結局、俺とアユミはあまり映画に集中していなかった。   『もうユキが見てくるから私も見たじゃないの!!』   『ははっ!!俺のせいかよ!!いいじゃん!!さてと、お腹空いたね……食べに行こう!!』   俺はアユミの手を引っ張ってマックじゃなくて違う場所へと連れて行っていた………。
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!