第一章

18/44
前へ
/198ページ
次へ
もう早いもので季節は夏から秋に変わっていた。   秋の学校の行事と言ったら文化祭があるという事でHRの教室で文化祭実行委員を決めていた。   『男女1人ずつ立候補はいませんか?』   クラス委員のサオリが前に立って聞いてくる。   誰一人として、手を挙げる者はいなかった。   そりゃそうだ……実行委員なんかやったら自分の時間が奪われるんだから。   『誰もいないなら投票で決めたいと思います』   少しキレ気味のサオリ。   そんなにキレんのなら自分がやればいいのに………なんて事、恐くて言えない。   投票の結果、男子はタカシが、女子は結局サオリになった。   俺はタカシに『ドンマイッ。パートナーがサオリじゃタカシ……終わったな』   タカシは今にも泣きそうな顔で俺に助けを求めてくる。   俺はそんなタカシを笑いながら応援していた。   そんな中、アユミは何か元気がなさそうに見える………。   『アユミ?どうしたん?何かテンション低いよ』   『えっ?元気だよぉ。タカシ君、大変だね。ユキ君がタカシ君を助けてあげてね』   俺にはアユミの顔が作り笑顔ってのが分かっていた。   だけど俺はそれ以上聞いたりしなかった………。
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1735人が本棚に入れています
本棚に追加