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受験
冬休みも終わり、俺達の最後の3学期が始まった。
もう卒業まで2ヶ月しかない………。
このクラスともお別れに近付いていたんだ。
今日は進路の最終面談の日。
HRの時間を使って先生が一人一人話を聞いている。
『ユキ君、志望校は変わらないかい?君の成績なら他にいけるとこあるんだぞっ!!』
先生はどうしても俺が選んだ高校には行ってほしくないらしい。
『もう決めた事ですから!!志望校を変えるつもりはないっす!!』
俺の決意は難かった。
『そうか……なら先生はもう何も言わない!!ユキ君が選んだ志望校、頑張って合格しよう!!』
先生は俺の強い意思に折れて応援してくれたんだ。
その日の帰り、俺はアユミと受験の事で話しながら帰っていた。
『ユキ、先生に何て言われたの?』
『もっと上の高校を志望しないか?だって!!』
『そっか~……でもユキは志望校変えなかったんでしょ?』
『うん!!全く変えるつもり無いしね。アユミは何か言われた?』
俺はアユミの事を心配して聞いていた。
『私は……まぁ、大丈夫だろうって!!でもユキの事、言われちゃったの……』
アユミは先生と俺の事を話していたらしい。
『はっ?何て?』
『ユキを説得して、志望校を上げれないか?とか………』
『とか……何?教えてよ!!』
アユミが途中で話を止めたのが凄く気になって聞いていた。
『私とユキがこのまま離れ離れになったら耐えれるのか?みたいな事を言われちゃったの……』
山本先生は俺とアユミの関係を知っている………。
だからそんな事を言ってきたんだと思う。
『ったく先生の奴、余計な事も言いやがって!!俺は離れても別れたりしないからね!!』
『分かってる!!私だってユキと別れたくないもん!!でも実際、5年間だよ!!その間にユキに好きな女の子が出来たらどうしようかとか考えちゃうの………』
アユミは俺が離れていくんじゃないかって心配していたんだ。
『アユミ……俺はお前から離れたりしない!!ずっと好きなんやけな!!信じろ!!』
俺はそう言うとアユミをギュッと抱き締めていた。
やっぱりタカシの言った通り、アユミも不安で一杯だった………。
俺はしばらくアユミを抱き締めたままでいたんだ………。
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