第一章

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     文化祭   2学期が始まって月日は流れて11月になっていた。   実行委員のタカシは相変わらずサオリに怒られている。   俺は、それを見ては笑い、タカシを励ました。   アユミも俺と一緒に笑っている。   『笑ってないで少しは助けろよ………。サオリまじ怖いって……』   『いやいや、ナイスなコンビに見えるって!!ねぇアユミ』   『うんうん。タカシくんとサオリ見てたら元気が出るよ』   毎日、俺とアユミはタカシの行動に笑いっぱなしだった。   そしてあっという間に文化祭の日がきた……。   俺達のクラスはたこ焼き屋と、まぁ普通の出し物を担当していた。 1年に1回だけ、一般の人が学校に入れるとだけあって、たくさんの人が来てくれた。   なんかお祭りの出店みたいにたこ焼きを焼きまくる。   それを常につまみ食いするカツミ。   なんか気持ちよかった。   味は分からないけど『ありがとう』って言ってくれる人がいるから。   クラス全員、いつもにまして笑顔になっていたし。   もちろん俺も。   アユミは今までで1番かわいらしい笑顔でいる。   俺は、そんなアユミの顔を見て少しドキッと胸が痛んだ。   今までこんな事、無かったのに何だろうと俺は考えた。   もしかして俺、アユミを意識しはじめている?   そう思うと俺はアユミの顔を直視する事が出来なくなっていたんだ。
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