第一章

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タカシもこんな気持ちだったのかな?   もし俺が、アユミの事が気になり始めたんだ、なんて事タカシが聞いたら何て言ってくれるだろう?   タカシもまだアユミの事、好きなハズだから『頑張れ』……なんて事はきっと言わないよな。   むしろ言ってしまったらタカシとの仲が悪くなりそうな気がするし………。   『ユキ~、やっと終わったよ!!まじ解放。超うれしい』   タカシが委員会の仕事が終わって教室に戻ってきた。   『あれ?ユキ、何か顔赤くね?』   『気のせいだろ!!ってか熱いんよね』   俺はとっさに顔の赤さはたこ焼き作って熱くなったからと嘘をついた………。   今は誰にもこの事を言えない……。   俺はしばらく一人で考える事に決めた。   皆の呼び込みの甲斐あってたこ焼きは全て完売した。   『ありがとうございました』   最後のお客さんにクラス全員で挨拶をする。   『皆、ご苦労様でした。全部売っちゃうなんてスゴイよ』   先生がビックリした顔で俺達に言ってくる。   『いやぁ、僕達が本気になれば、これくらいちょろいですよ』   カツミが自慢気に語った。   それにクラスの男子は乗っかっている。   文化祭もあっという間に終わって下校の時間になっていた。   いつもならタカシとアユミと3人で帰るんだけど、今日は2人に『ごめん。今日、急いで帰らないかんけ………』   そう伝えて、一人帰宅した。   アユミの事を考えながら………。
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