『瑞穂』

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彼に恨みをぶつけていい気分で部屋に帰ろうとすると、またあのかわいい子が私の帰りを外に出て待っていた。 私は陽介くんに抱きついていく。 ぎゅうっとしがみついて離してあげない。 「また同じ男?」 嫉妬してくれちゃってる。 そんな必要、どこにもない相手なのに。 あの人に抱かれたいとは二度と思わない。 「別れた元旦那様。ん…、ねぇ?して?」 私は陽介くんの耳元、おねだり。 その耳にキスして舐めて、陽介くんは真っ赤になって私の頭を肩に押しつける。 「耳、ダメっ。しますっ。だから部屋帰ろう?」 私はいい気分で部屋に向かう。 部屋に帰ったら押し倒すのは私。 たぶんきっと私、飲んだら性格かわる二重人格だ。 わかっていても自分を止められない。 陽介くんをいっぱい食べて、してくれようとしてるその手を押さえて、まだ食べる。 種、欲しい。 この種がいい。 でも…。 迷ってみても、酔ってる私は本能的。 もらっちゃえとゴムつけないまま、自分で中に入れた。 陽介くんがしていたらゴムちゃんとつけている。 親の言いつけ守る真面目な子だと思う。 我慢しまくってくれて、なかなかもらえなかったけど、中にいただいた。 「…出ちゃった…、中…」 「もう一回。いっぱいちょうだい。すぐできるよ、赤ちゃん」 「……マジで孕ませられたかったの?瑞穂さん」 「うんっ」 私は元気いっぱいに答えて、陽介くんを食べまくる。 酔ってるときの主導権は陽介くんが握っていたほうが安全だった。 あんなにそれはダメだろって思っていたこと、簡単にやっちゃう。 さすがにこればかりは酔いが覚めたら頭を抱えてしまった。 できていないように願ったけど、絶倫陽介くんに何回も中にもらって、できていなかった…なんていうことはなく。 ムンクの叫びのようになりながら、妊娠検査薬の陽性反応を見る。 もう私、終わったかもしれない。 妊娠はうれしいのに、相手が悪すぎる。 これなら元旦那のほうがよかったと思うくらい。 子供を産むことは諦めきれず。 できたものをひたすら隠して同棲。 さすがに隠しきれなくなってから白状した。 陽介くんは飛び上がって喜んだ。 喜んでくれるのはうれしい。 だけど、自分の年齢考えよう? いつかは陽介くんのご両親に挨拶にいかなければならないのだろうけれど。 その勇気が私にはない。 Fin 2017.9.7
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