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「なぁ、逆ナンされたことある?」
大学、同じ講義をとってる仲間に聞いてみた。
「あるわけねーべ。…なに?おまえ、逆ナンされたのか?」
「…された。なぁ?俺が逆ナンって…、なぁ?」
有り得ないと思う。
「どーせ相手はブスだったんだろ?」
仲間はからかうように俺に聞いてくる。
「めっちゃ美人。大人な感じでスタイルいい」
「あー、その場限りってやつだな。有り得ない、有り得ない」
仲間の言葉に、やっぱりそうだよなと思う。
けど、俺の財布にはしっかりと恵梨子がくれた金が入ってる。
使っていいものかどうかわからなくて、手をつけようともしていない。
その次の水曜、恵梨子から電話があるまでは、信じてなんかいなかったのが本当のところだ。
今でも、はっきり言って信じていない。
どこかに裏があるんじゃないかと疑ってみたりもする。
だって毎週水曜に5万やで?
月4回水曜があったら月20万も俺に払っとんねんでっ?
恵梨子になんの得もないのに。
俺みたいな素人やなくて、デリホスでも頼めるやろって言いたくなる。
なんで俺なんやろって何度も悩んだ。
なんの仕事でどれだけの稼ぎがあって俺に20万の価値をつけたのか。
謎すぎる恵梨子からもらった名刺を何度眺めてみても、そこには何も答えはない。
都内の会社に勤めているらしい。
どういう会社かは名刺だけやったらわからん。
恵梨子の名前に肩書は書かれてへんし、ただの平社員か。
それとも実はすべてを偽ってお水とか。
直接聞いてみても、謎かけでもするように、曖昧にしか答えてくれへん。
年齢は俺より3つくらい年上やと思う。
予想でしかないんやけど。
そんなん秘密にするから、余計に気になって、恵梨子のことばっかり考えるようになってしまった。
好きもつきあっても何度も言ってる。
いつもはぐらかされてムカついて、シオリとつきあってみても平気そう。
俺との契約、恵梨子からいつでも簡単に切れるはずなのに、今もまだ続いている。
割り切られた俺の感情。
それでも会いたいと思う俺の純情。
悪魔やろ、恵梨子。
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