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朝、そこそこ遅い時間に目を覚ましたアープ。
微かに頬が痛いのか両手で顔を覆う。
「昨日の爺は何だったんだ?」
立ち上がり、開けっ放しの窓から顔を出そうと近付くと、足に何かが当たった。
赤い鞘に入った剣が落ちていた。
「なんだこれは?」
アープは、その剣を拾い上げ考える。
「昨日の爺が置いて行ったのか?神様だとか言ってたな…」
フッと机を見てみると、紙が一枚置いてあった。
近付き、手に取り読んでみる。
「そなたは、魔王を倒すために強大な力を持って生まれた戦士じゃ!この世界を救うため、神剣を使って魔王を倒してもらいたい。 神より」
アープは、お尻を神剣の柄でボリボリと掻くと、机の上にヒラヒラと落とした。
「興味ないな…」
そう言うと突然後ろから声がする。
「どうしたら、やってくれる?」
アープは振り向く。
「爺!」
窓から泥棒の様に、侵入しようとしている神様と目があった。
「欲しいのは、金か?それとも他の物か?」
アープは神剣を抜き、神様に襲いかかる。
「わぁぁあぁぁぁ~~!!待て待て!!」
剣を使い慣れていないアープは神様を切り損ね、振り下ろした剣を床に刺してしまう。
「何の用事だ?」アープは何もなかったかのように聞く。
神様は腰から力が抜け床に座り込む。
「どうしたら、魔王を退治してくれる?」
ゼェゼェ言いながら何とか質問する。
「別にそんなに欲しい物とか無いし、暇潰し程度になら良いぜ?」
神様は、その言葉を聞いて言った。
「わかった…それで良い…」
「冒険の経費とか出してくれるのか?」
「…わかった…出そう…」
神様は、何とかその気にさせた事で胸を撫で下ろした。
アープは剣を床から引き抜き鞘に収める。
「んで?とりあえず、どうするの?」
神様は胸元から服の中に手を入れゴソゴソさせ、一枚の古い紙を取り出した。
「えっと…まずは、悪魔鳥の巣に行って七色の尾羽を取らないとダメじゃ…」
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