‡平凡‡

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目覚まし時計が耳元で鳴り響く。気が付くと、僕はベッドの上で寝ていた。 夢……? 「壱樹(いつき)、ご飯出来たわよ!」 下から母さんの大きな声が聞こえる。 やっぱり夢か……。 そう思いつつ、ベットから降り、壁にかけられていた濃い緑色の制服に袖を通す。そして、台所のある1階へと降りていく。 「早くしないと、学校に遅れるわよ」 朝の第一声がこれはどうなんだろう? などと、寝呆けた頭で考えつつ、テレビを付ける。 「本日の天気は……」 テレビを見ながら、テーブルに準備されていたコーヒーとパンを食べる。 「お兄ちゃん、ゆっくりしてるけど大丈夫なの?」 話し掛けてきたのは、妹の桜(さくら)。 僕と同じ黒い髪に黒い瞳の小顔な妹。中学1年生にしては、しっかりした性格で、よくできた妹だと思う。融通がきかないのが、たまにきずだけど……。 「まだ15分だろ? 大丈夫、大丈夫」 湯気が立っているコーヒーをゆっくりと口元に近付ける。 「ここの時計、10分遅れてるよ」 「えっ!?」 テレビに表示されている時間は、確かに10分進んでいる。 「ヤバい! ご馳走様!」 慌てて鞄を持ち、玄関へと向かう。 「まだ、ご飯残ってるじゃない!」 「時間ないよ! 行ってきます!!」 母さんはテーブルの上にある食べ残しを見たようだ。しかし、僕にはゆっくりとご飯を食べている余裕はなく、そのまま勢い良く家を出る。
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