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学校への道を歩きながら、携帯を取出し時間を確認する。
何とか間に合いそうだな……。
不意に誰かに勢いよく、背中を叩かれた。
「壱樹、おはよう!」
この元気のいい子は春枝 楓(はるえだ かえで)。
家の近所に住んでいる。簡単に言えば、幼なじみだ。
楓は整った顔をしていて、背が高く、黒く長い髪をしている。そして、運動神経がやたらといい。羨ましい限りだ……。そのせいか、男子からやたらとモテる。でも、小さい頃から一緒の僕は今さら特に何かを感じることもない。
「痛いよ、楓」
「何言ってるの、朝は元気よく挨拶しなくちゃ」
叩かれた背中に鈍い痛みを感じつつ、楓を見ると爽やかな笑顔をしている。
「もおー……」
「? 今日は、いつにもなく元気がないのね?」
僕の顔を覗き込むように楓は見てくる。
「元気がないって程じゃないけど……。今日、変な夢を見たんだ……」
「どんな夢?」
………………。
楓に今朝見た夢の話をした。
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