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学校に着いた僕達は慌て席に着く。
「何とか間に合ったね?」
僕と楓は、ここまで走ってきたのだ。始めは余裕で間に合うと思っていたのだが、話に夢中で歩くのが遅くなっていたようだ。そのため、僕は凄い息切れをしている。
「うっうん……」
何で楓は平然としているんだ?
息切れを全くしていない楓を見て、少し悔しくもある。
そして、チャイムと共に先生が入ってくる。
「起立……、礼……、着席……」
「おはようございます。えぇー、今日から君達も先輩になるわけですが……」
黒生地に縦のラインが入っているスーツを着た、銀縁の眼鏡にいかにも自分の事をエリートと思っているだろう顔をした僕達の担任が挨拶をする。
「相変わらず、話しが長いね」
「そうだね」
めんどくさそうな顔をして、小声で話し掛けてくる楓に僕も同意するように首を振り、小声で返す。
「春枝 楓! 夢海 壱樹(ゆめみ いつき)! 先生の話を聞いてるのですか?」
「はっはい!」
僕と楓は慌てて前を向き、先生に向かって返事をする。
「おほん。ええー、まあー、今日も1日頑張ってください」
「起立……、礼……」
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