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街の喧騒の中、立ち止まって辺りを見回す。
居なくなった『彼』を思い出す。
彼らには『彼』が命を犠牲にしてまで守る価値があったのだろうか?
――無い。
何度問答を繰り返そうが答えは一緒だった。
辺りを見回す。
何故、彼らが生きている?
――彼が命を賭けて守ったから。
何故、私が生きている?
――彼が命を賭けて守ってくれたから。
何故、彼は死んだ?
――彼らを守るため(私ヲ)。
誰の、せいで死んだ?
――彼らのせいで。彼らのエゴが産んだ危機を取り去るため、彼は命を散らした(私ガ)。
なんのために私は生きている(ナゼ)?
――わからない
なんのため(ナゼ)?
なんのため(ナゼ)?
なんのため(ナゼ)?
いったい、なんのため(ナゼ)?
そうだ彼との約束を果たそう。
彼は別れの際に『幸せに生きる』と言った。
私の幸せってなんだ?
もう一度辺りを見回す。
周りの人間は彼が犠牲になったのに、誰も悲しもうとはしない。
――憎い
憎い? そうか、わかった。私の、幸せ。
私は知っている。幸せとは心の満足。
私の幸せ――それは復讐。
そう、復讐だ。
殺そう。彼らを、人間を、殺し尽そう(私ヲ)。
殺そう殺そう殺そう殺そう殺そう殺そう殺そう殺そう殺そう殺そう殺そう殺そう殺そう(殺ソウ)。
『彼』のために……殺し尽そう(徹底的ニ)。
彼らに生きる価値は――無い(私ニ)。
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