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「……二人目。」
微かながら小さく静かに呟いた。
表情を何一つ変えず近付く准は、まさに鬼のようだった。
「うっ………こんな奴に勝てっこねぇよ!」
そう叫び足が震えている先輩は、俺の胸ぐらを放して逃げようと走り出した。
「……逃がさねぇ」
微かに聞こえる声で呟いた。
素早い動きに、先輩は立ち止まって後ろを振り向いた瞬間だった。
頭を持たれ、そのまま地面に叩きつけられた。
その光景はまさに"地獄絵図"と呼ばれるに相応しかった。
恐怖だけが俺の脳裏で流れる。
とにかく怖い。
俺の方を向いて近付いてくる准に、俺は後退った。
だが、その瞬間だった。
冷酷な瞳には、いつの間にか暖かさが戻っていた。
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