晴々日和

11/17
前へ
/18ページ
次へ
「……二人目。」 微かながら小さく静かに呟いた。 表情を何一つ変えず近付く准は、まさに鬼のようだった。 「うっ………こんな奴に勝てっこねぇよ!」 そう叫び足が震えている先輩は、俺の胸ぐらを放して逃げようと走り出した。 「……逃がさねぇ」 微かに聞こえる声で呟いた。 素早い動きに、先輩は立ち止まって後ろを振り向いた瞬間だった。 頭を持たれ、そのまま地面に叩きつけられた。 その光景はまさに"地獄絵図"と呼ばれるに相応しかった。 恐怖だけが俺の脳裏で流れる。 とにかく怖い。 俺の方を向いて近付いてくる准に、俺は後退った。 だが、その瞬間だった。 冷酷な瞳には、いつの間にか暖かさが戻っていた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加