ブルーバードの赤い羽

ブルーバードの翼

静かだ。
あまりに静かすぎて落ち着かない。

運動不足によるフラストレーションが溜まっている。
大声を出したい衝動を必死で抑え、俺は壁に立て掛けてある松葉杖を手に取った。

足を動かさなきゃいいんだろ。

重い体をベッドから下ろす。
腕の擦り傷はかさぶたになっていた。
ガタガタと動く俺だけが、病室内に響く。
同室の人たちは今週になって次々と退院したために、今は俺の個室と化していた。

松葉杖の先が床にカツンと着き、体重をそれに任せる。

おぉ、慣れてない割には意外と動かせそうじゃん。

よろよろと三本足で歩き出す。
来週には俺も退院だ。
その前に院内探検を敢行しよう。