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「あのぅ、保険屋ですぅ」
「保険は間に合ってますッ!」
ガチャンッ!
電話を勢いよく切った。最近、保険の電話が多いったらありゃしない。
プルプルプルプル……
また電話だ。
「もしもし」
「あっ、保険屋です! お宅の……」
ガチャンッ!
受話器を機器に叩きつけて切った。グリグリと憎悪の念を込めて押し付ける。全く、しつこいッ!
プルプルプルプル……
また!?
金融庁に訴えてやる!
「ほ、ほけ……」
「あんた! 社会的に抹殺されたいの!?」
「お宅の坊ちゃんが車にひかれてたったいま亡くなりました。たまたま現場に居合わせた私が助けたのですが虫の息でして、お母さんに電話したいと言われたので保険屋の私がお電話を……ですが、何度も電話を切られ、4回目の電話で息を」
「う、ウソよ!」
「残念ながら本当です。ですがお宅の坊ちゃんは保険に入っていましたから保険金が降ります。では私はこれで」
もう……ガチャ切りはしないわ……
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