ひょんな切っ掛け

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「あっ。」 「あれ?」 目が合ってお互い気付く。 「桜井‥さん?」 「‥雨宮さん?」 特攻服の小柄な人間は、小学校の同級生だった。 「いつきー?知り合い?」 後ろから友人が声を掛ける。 「うん。小学校の時の友達!」 そうだ。桜井さんだ。 そう言って彼女の近くに駆け寄る。 「久しぶり!覚えてる?」 「覚えてるよー!」 「‥ところでその格好なに?」 夜の公園に特攻服。かなり物々しい雰囲気だ。 「あーこれ?仮装パーティーの帰り。」 くしゃっと笑顔を見せる彼女。その顔は昔とちっとも変わってなかった。 さっきの、何? という言葉は、飲み込んだ。 代わりに、 「これからさー、酒盛りするけど、桜井さんも飲む?」 「え、本当に?邪魔していいの?」 「いーよいーよ!乾杯しよーぜ!」 彼女を誘った。 ひょんな再会。 これが私と摩夜との出会いだった。
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