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僕ら、幼なじみでものごころついた時から高校時代まで、毎日のように顔を合わせていた。まるで兄弟のように。
これまで、腹の中まで分かりあえていただけに、お互いを傷つけまいと。
なぜ、あんな言い方をしてしまったんだろう。
昨日、僕の携帯に高校時代の同級生の女の子から、衝撃的な知らせが舞い込んできた。
『彼女、もう長くは生きられないんだって』
すすり泣く声に、その言葉は、僕の脳裏にある記憶を引き出した。
『どういうこと?ゆっくりでいいから説明して。』
電車や車の雑音をかきわけるように、耳をこらして、一字一句聞き漏らさぬよう注意を払った。
『彼女、卒業してから病で倒れて、ずっと入院していたの。私だって、つい最近知ったの、こんな小さな街にいながら』
僕ら二人が高校時代、好意を寄せていたものの、友情のためにずっと告白出来ずにいた女の子がいた。
どうも、持病があったことを周囲に隠していたらしく。
『二人に会いたがってる』
その一言に、僕らは急遽地元へ帰ることに。
最初は、昔話で盛り上がっていたのに。
どうして。
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