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嘘・・・なんでいるの。
美佐や里中くんが私がついて来ない事に気付いて、私を振り返る。
「美保?」
美佐が私の顔を覗き込む・・・でも私の目は、二人を見ずに、校門の方へと注がれる。
「嘘でしょ?」
呟く私の声。
美佐も里中くんも校門の方へと視線を向け、知っている人物がいる事に驚いている。
「よっ、美保。久しぶりだな」
校門に立っていた、男の子が声を掛けてくる。
「・・・なんでいるのよ?」
「父さんが、こっちに転勤になったから」
男の子・・・純矢が簡単に種明かしをする。
「だって、冬に会った時にはなにも言ってなかったじゃない。」
「あっあれ?今日驚かそうと思って伝えなかったんだよ」
純矢は悪びれた様子もなくあっさりしてる。
「本気であり得ない事するわね。なんで言わないの。なんで常に私で遊ぼうとするの・・・本当に意味不明なやつ。もう知らないから」
私が言うと、純矢はなにも言わずに私の元にやってきて・・・私を抱きしめた。
「だから、泣くなって言ってるだろう。本当に泣き虫だな、お前」
純矢はそう言って笑った。
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