第一章 休日は続かない

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「今日はオムライスよ。お兄ちゃんの休日記念!」 男はその言葉に表情を歪めた。 愛しの妹が自分の休日を祝ってくれるのだという嬉しさと、その休日記念とやらが開催される前に終わってしまうという哀しさ。 その変化に妹は気付いたようだった。 「どうしたの?」 男は肩を落とし、そっと空のマグカップを差し出す。 うな垂れた首を小さく横に振りながら、告げた。 「終わりなんだよ……休暇」 「えっ!? だって今日一日お休みでしょ? まだお昼前よ?」 マグカップを受け取りながら眼を丸くした妹が、信じられないというように声を上げた。
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