558人が本棚に入れています
本棚に追加
椅子に腰掛けた男がダイニングテーブルに突っ伏してため息を吐くと、激しいノックと同時にドアが開かれた。
「ダンナッ！ 緊急事態っショ！」
喚き散らしながら家に入ってきたのは、十代後半から二十歳ほどの男。
実際はオフィーリアと同じ十九歳だ。
彼は長い赤髪を後ろで束ね、まだ綻び一つ無い蒼い制服を着込んでいた。
「うるせぇ。俺はお前の旦那になった覚えはねぇ」
その言葉にも力は入らなかった。
テーブルに顔を伏せたままの男に、赤髪の男はドカドカと近づいてくる。
「市民暴動が起きてる！ 来て欲しいっショ!!」
足をジタバタとバタつかせ、身振り手振りを交えて騒いでいる。
その様子から、かなり焦っているのは分かった。
しかし、男は椅子から立ち上がる気にもならない。
最初のコメントを投稿しよう！