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「もう! 前から言ってるじゃない。
同窓生なんだから、『お嬢』なんて止めてよね。
昔みたいに名前で呼んでよ」
抗議の言葉だったが、その声にはそれほど不満の色は無かった。
本人は本気で怒っているわけではないのだろう。
だからこそ、それがかえって可愛らしく聞こえた。
「ダーメ! オレっちはダンナが班長を務める警備団に入ったんだから、その妹であるオフィーリア……じゃなかった……お嬢は『お嬢』っショ!」
「あ、ほら! 名前で呼んでくれる癖、無理やり直してるじゃない!」
ラッセルが息を呑んだのを漠然と察しながら、男は上の服に頭を突っ込んで部屋を出た。
もぞもぞと袖に腕を通しつつも、階段を降りる。
「やっちまったっショ! あはははっ!」
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