出会い

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──二人が炬雍に紹介される半月ほど前。 雛藺は森の中を歩いていた。 「えっーと、水色の岩……水色岩、っと」 持っている小さなメモ用紙と周りを交互に見ながら“水色の岩”を探している様子。 やがて見つからないのかドカッとその場にしゃがみこんだ。 「…………あー!見つかんねー!兄貴もどっか行ったし……アヤも自分で探せよな……」 周りに誰もいないので独り言が増える一方だ。 端から見れば相当怪しい。 そんな中、声を掛けてきた人物がいた。 「こんにちはぁ」 「へ?」 急に声を掛けられ、思わず間抜けな声が出てしまった。 顔を上げると、緑のリボンをした可愛らしい女の子が笑顔でこちらを見ていた。──それが丘雨である。 丘雨は雛藺の持っているメモ用紙に気が付いた。 「何か探しているの~?」 「えっと、これ……」 雛藺がメモ用紙を渡す。丘雨は受け取り、じっと見つめる。 すると……、 「……あ、これ見たことあるよぉ?」 「え!まじで!?」 ガバッと立ち上がる雛藺。どこまでもマイペースな丘雨は「こっち~」と雛藺に背を向け歩き始めた。慌てて後を追った。 歩いている途中で挨拶を交わすのを忘れずに。 「なぁなぁ!名前なんてーの?オレ雛藺!」 「私は丘雨って言うの~。よろしくねぇ」  
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