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…………暫く歩いていたら。
「あれじゃないかなぁ?」
「お?」
立ち止まり、指をさす丘雨。その指の先を見てみると、確かに水色の岩があった。唯一、太陽が射している場所に。雛藺は丘雨が持ってるメモ用紙のモノと比べてみた。……確かにあれだ。
「見つけたー!さんきゅ!……えーと、丘雨!」
「いいえ~」
「早速持ち上げるか!」
丘雨にお礼を言った後、岩に近付き、腕捲りをして気合い十分な雛藺。
ちなみに岩の大きさは中学生の子が丁度抱え込めるくらいである。微妙な大きさだ。
「うしっ!せーの……」
フンッ!と力一杯の声で岩を持ち上げようとする。……けれども岩はびくともせず、いっこうに上がる気配がない。
……雛藺の力が弱いのか、岩が重いのか。
「っはぁ、ダメだ……持ちあがんねー」
ぜぇはぁ言いながら座り込む雛藺。それを見据えた丘雨は自分に任せろと言わんばかりに雛藺の肩を叩き、自分を指さした。とてつもなく笑顔で。
雛藺は目を見開いた。
「む、無理だって!男のオレが無理だったんだぜ!?」
「大丈夫大丈夫ぅ。ほら」
「はっ、あ……!?」
ほら、と同時に軽々しく岩を持ち上げた丘雨。雛藺は驚きの余り固まってしまった。
丘雨は首を傾げて雛藺を見る。
我に返った雛藺は丘雨と岩を交互に見つめる。
「え、あ、おも重たくないの?」
「全然?」
「…………(こんな体のどこにそんな力が?)」
「……?これ、どこに運べばいいのぉ?」
「!!あ、良い良い!後は運べるから!」
そのまま歩き出そうとする丘雨を止めて、雛藺は風の力で岩を浮かした。
「すごぉい。あなたの能力?」
「まぁな!……岩見つかったしそろそろオレ行くから!じゃあね丘雨“ちゃん”!」
「丘雨で良いよ~……行っちゃったぁ」
自分の足にも風をまとわりつかせ早口で言った後、飛び去って言った雛藺。
丘雨は手を振りながら「元気な人だったなぁ」と考えていた。
飛んでる時、
「(やっぱ丘雨って失礼だよな。うん、丘雨ちゃんにしよう!もう二度と会わないと思うけどってか恐かった……!!)」
と、何やら失礼な事を考えている雛藺であった。
この半月後、また出会うことはまだ雛藺は知らない……。
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