49人が本棚に入れています
本棚に追加
秋季大会まであと1日を切ったある日の夕方、凌はグランドに木下を呼び出した。
凌『ごめんいきなり呼んだりして』
木下『本当にいきなりだったよ、少し寝たかったのに‥それよりなにか話しあるんでしょ?』
本当にいきなりだったのか木下にしては珍しく愚痴を言いながらも最終的にはちゃんと本題に入る。
凌『実は木下に話しときたいことがあんだ』
先程まで緩んでいた木下の表情が変わった。
木下『言ってみてよ』
凌は木下に1回頷くと深呼吸しゆっくりと口を開き話し始めた。
凌『俺中3の春に大阪に転校しただろ?それで向こうの中学でも野球に入った訳よ、そしたらさなんか入部テストでそこの4番と勝負して抑えたら合格って言われたんだ』
ここまで話すと一度木下を見るとうんと頷いたので再び凌は話し始める。
凌『でさその4番ってのが木下も知ってると思うけど斎駕だったんだよ』
ここで木下は驚いた表情を浮かべ凌を見る。
木下『斎駕って神鳴館の斎駕?』
どうやら木下も斎駕の事を知っているらしい。
※斎駕 翔(高2) 右投右打 一
1年の夏から名門神鳴館高校のレギュラーの座を獲得し、今夏には2年連続甲子園に出場を果たした、そしてそのずば抜けた打撃センスでホームランを量産しチームをベスト4まで導いた不動の4番打者である。
凌『そう‥で勝負したのはいいんだけど見事にライトオーバー打たれたから入部諦めてたんだけど何故か合格だったよ…』
木下は凌の話しを食い入るようにかなり真剣に聞いている。
凌『んでよ後で知ったんだけとさ斎駕が監督に入れてやってくれって頭を下げて頼んでくれてたらしいんだ、監督からすれば4番が頭を下げる程なんだから入れるしか無かったらしい』
そう言って凌は苦笑いを浮かべつつも話しを続ける。
最初のコメントを投稿しよう!