凌の秘密

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だが凌は臆することなく攻めの姿勢を貫く。 凌『負けられない‥この試合だけは負けられないんだよー!』 誰に言うでも無くそう叫ぶとさらに気合いを込める。 1球目レフトポール真横に飛び込むファールになった。 2球目は3塁側スタンドに入りこれで追い込んだ凌だがタイムリミットは刻一刻と近づいている。 凌『絶対押さえねぇと…』 凌は3球目を投げた! シュルルルル!キン! 凌の渾身の一球はバックネットに当たるファールになった。 それが5球続いた時凌は右腕に異変を感じる… 凌『まだ5分経ってないのに…』 凌はそんな事を思っているが無理も無かった‥そもそも無理して投げていた右腕を更に無理して使い投げた結果もうボロボロになってしまっていた。 痛み止めもきれ徐々に痛みが戻ってきており握力ももう無くなってしまいそうである。 だが凌は最後に本当に最後にその痛みで力の入らないボロボロの右腕でボールを握ると投球フォームに入った。 コレで最後悔いは無い… なんだかこの仲間とは短い間しか野球出来なかったけど楽しかったな‥また出来るかな? そしたら俺がまたピッチャーでキャッチャーに坂がいて斎駕がファーストにいてそしてセカンドに黒田がいてサードに嶋田がいてショートに赤西がしてレフトに島野がいてセンターに山口がいてライトに高橋がいて監督や控えの皆がいてそして応援してくれる人がいる‥そうだったらいいな…… 流れるように綺麗なフォームから最後の‥本当にこれで最後の力を振り絞って投げた! それはこの日‥いや生まれて初めてかな?それぐらいの渾身の一球だった… あの時の雨は本当にしょっぱかったな… まあ皆が俺の顔を覗き込んで涙流してたからなんだけどさ。 でもさ皆が何か言ってるけど聞こえないんだよ… おかしいな眠くないのに瞼が重いや‥ごめん皆少しだけ寝るから結果はまた今度聞くわ。 そこで俺の意識は途切れた。
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