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山学 3ー9 さきたま校
コールドを免れた山学の打順は1番の倉本に戻ってきた。
加藤『続けよ倉本!』
ベンチから乗り出し完全にテンションが上がっている加藤に対し倉本は背中越しに手を上げて応えるとバッターボックスに向かう。
倉本がバッターボックスに入るのと同時に加藤の隣にいる凌が監督になにやら話す声が聞こえてきた。
凌『監督次の回から俺に投げさせてくれ!』
ベンチにいた皆が驚き振り向き凌と監督を交互に見ている。
驚いたのは別にベンチにいた選手だけではない…
凌の目の前にいる監督もその1人である。
監督『何考えてるんだ?投げさせる訳がないだろ‥お前の球速では打たれのが分かってるだろ!』
さすがに無茶振りとも取れるそんな事を言われ否定するが…
そんなときに凌の相棒‥すなわち木下が監督に言う。
木下『監督凌に投げさせてあげてください、俺が大丈夫だと保証しますから』
保証するとは言われても‥やはり信用出来ないのか監督の表情は冴えない。
監督『木下……お前が言うんだから相当自信があるんだろう………だが藤田よりは平石の方が打たれないだろ』
ここまで黙していた凌が痺れを切らしたのかまくし立てるように言った。
凌『認めてくれないなら認めさせてやる、監督!今からブルペンで投げる……それで決めてくれ』
監督には凌がなぜそこまで言うのか分からなかった…
そう分からなかった‥だが今分かった。
凌の目は相当自信に満ち溢れギラギラとし、早く投げたいのかそわそわしている。
そんな小さい子供みたいな凌を見て監督はフッと笑い。
監督『わかった…おい木藤受けてやれ』
指名を受けた木藤はミットを取りブルペンへ向かおうとするが…
木下『木藤じゃ凌の球は受けれないと思いますよ』
木下がそう言うと皆が意味が分からないと言った表情を浮かべている。
監督『どう言う意味だ?』
今の発言に納得出来ない監督は木下を問い詰めるが…
木下『まぁ実際にやってみるとすぐに分かりますよ』
と言ってにっこり笑うだけだった。
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