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木藤『うぅぅ~………』
お腹を抱え苦しそうにうずくまる木藤がおり、球場内がざわつき始める。
木下『木藤にあれだけ絶対ボールからは目を離しちゃだめだって言ったんだけどね』
右手で頭を抱えやれやれと言った感じでため息をつきながらコールドスプレーを持ちブルペンへ向かう。
凌『あれ………やばい……よな?』
あまりにも酷く苦しむ木藤に戸惑いを隠せない凌だが、それよりも今は木藤の治療が最優先である為木藤の元まで走って向かうと木下がコールドスプレーを持ちやって来た。
木下『大丈夫かい木藤?』
木藤『うぅ~…………』
問い掛けるがうなり声しか出てこない。
どうやら鳩尾にでも入ってしまったらしい…
木下『凌‥全力で投げたの?』
凌『肩慣らしも終わったし良いかなって思ったんだけど…』
それを聞いた木下は呆れてしまったのか苦笑いしている。
木下『そろそろ大丈夫かな?』
コールドスプレーで患部を冷やしていた木下が手を止めた。
木藤『ありがとう木下‥そしてごめん藤田……』
木下は当然の事だよと言って返したが凌は突然謝られ意味が分からず固まっている。
凌(あれ?この場合謝るのって俺じゃ無いのか?ん…?全く意味が分からない……それより俺も謝ろ)
凌『謝るなよ……それより俺の方こそごめん………痛かっただろ?』
逆に謝られた木藤はううんと首を振る。
木藤『僕下手くそだから体で止める事に慣れてるから‥ただ今回は運悪く鳩尾に入っちゃった』
鳩尾を抑え自分をあざ笑うかのように言う木藤。
その様子を見た木下は
木下『さすがにその状態じゃ捕れそうにないね‥木藤ベンチに戻ってなよ俺が受けるからさ。』
木藤は頷くと防具を脱ぎミットを木下に渡すとベンチに戻っていった。
凌(後でもう1回謝っとこう)
木下『よし準備出来たよ?』
そう言った木下は既に座りミットを構えている。
凌『それじゃいくぞ!』
球場にいるほとんどの人の視線をほぼ一心に集めた凌は先程と同じく淀みのない綺麗なフォームからボールを投げた。
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