49人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
シュルルルルッ!バシンッ!
ボールがミットに収まると同時に球場内にもの凄い音をたてた。
そんな恐ろしいボールを受けた木下は当然の如く…
木下『イタタタ……』
かなり痛かったようでミットをはめていた左手を抑え苦悶の表情を浮かべている。
そんな痛々しい様を見た犯人は近付き…
凌『大丈夫か木下?』
大丈夫じゃ無いだろうがいちよう聞いてみた。
木下『大丈夫そうに見える?』
やはり大丈夫じゃなかったみたいだ、手が真っ赤になり見ているこちらとしても痛そうだ。
ひとまず謝って、それから弁明する事にしよう。
そう思うや否や。
凌『ごめん………まさか自分でもこんなにスピードが上がってるだなんて思わなくてさ』
頬をポリポリ掻きながら釈明の弁を述べる犯人。
それに対し被害者は。
木下『それは凄いねおめでとう』
かなり呆れてるのか先程までの苦悶の表情とは違い今度は冷ややかな目で凌を見る。
凌『俺こっち来て全力で投げるの初めてだったからさホントに知らなかったんだよ……』
今の凌は誰が見ても分かる程に真剣な表情を浮かべている。
そんな顔を見た木下は凌の言葉に嘘偽りが無いと判断し…
木下『冗談だよ‥あれは俺のミスだから気にしないでよ』
そう言うなりミットをはめる座ると…
木下『もう一球お願い』
さすがに先程の事がある為凌は投げるかどうか迷ってしまう。
そんな凌を見かねたのかフェンス越しから傍観していた美樹が凌を手招きしている。
たまたま自分の事を手招きしている美樹が目に入った凌は美樹の目の前まで近寄った。
凌『どうした?』
美樹『投げてあげたら?そりゃ怖いだろうけど‥木下を信じて投げてあげなよ、今木下があんたの全力捕れなかったら誰が受けるのよ?』
言われてみればそうだ、ここで全力の球を木下が捕れなければ誰も捕れるキャッチャーはいない…
もしこの試合を力を抑えて勝ったとしても、この先勝ち上がるにつれて打たれるのは明確である。
最初のコメントを投稿しよう!