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木下が会話に加わって少しするとチャイムが鳴り授業が始まった。
凌は転入初日なので教科書が無い為、隣の席に座る美樹に一緒に見せてもらっている。
授業も後半に差し掛かった頃凌に異変が起きる。
先程からうつらうつらとしておりこのままでは転入早々やる気の無い生徒と認識されてしまう…
そう思った美樹は凌が夢の世界に旅立つたびに太ももを抓る。
すると痛みで一気に目が覚めたのか涙目で美樹を睨む。
睨むと言ってもとくに怒っている訳でもなく、ただ美樹に対し軽蔑の眼差しを向けている。
美樹『ごめん‥やりすぎちゃった』
そう言うとちょこっと舌を出しておどける。
この行為で数人の男子は落とせるであろうが、目の前にいる凌には全く効果が無かった。
凌『でもまあ起こしてくれてありがとな』
ニコッと笑う凌を見た瞬間美樹にカウンターが炸裂した。
美樹『どう‥いたしまして…』
急に大人しくなった美樹をおかしく思い凌は首を傾げる。
まあいいかと適当にその事象を脳内会議で片付けてると授業を終えるチャイムが鳴ったと同時に周りに生徒が集まってきた。
言うなれば転入お馴染みの行事‥いわゆる質問責めの時間である。
そんな質問責めは次の授業の開始を知らせるチャイムが鳴るまで続いていた…
その光景を遠めから見ていた木下と美樹は、友達をあたかも他人を見るかのように見ていた。
チャイムが鳴ると先程まで群がっていた生徒達はすうっと蜘蛛の子のように戻っていく。
やっとの思いで解放された凌は今は机に突っ伏していた。
凌はふと隣を見るとそこにはあたかも始めから何も無かったかのように平然と座っている。
それを見ると凌はまた机に突っ伏した、それを見ていた木下は苦笑いを浮かべていた。
凌はとりあえず次の授業がなんなのかを知るために時間割を見ると2限目は現国になっている。
ひととうり黒板に書かれた字をノートに写し2限目はなんなく終わった。
また机の回りを群がられるのかと思うと軽く鬱になりそうになるが、さっきから凌の回りには2人しかいない。
木下と美樹である。
木下『話しの続きしようよ』
まあ嫌でも無いので頷くと誰となく木下から話し始めた。
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