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眼の前が紅く染まったような気がした。
縋るように呼ぶその名前。
「んなに俺より奴の方がいいんかよッ!」
自分の声が怒りに震えているのが分かる。
無言で抜刀すれば、驚いたような紅の瞳。その銀髪を狙い刃を振り斬る。
ブツリ、と縄が切れた。手首の戒めはそのままに崩れ落ちる銀時。
落下の衝撃による脚の痛みに呻く声を無視し。匣に足をかけ見下ろせば。
「お前……何言って」
当たり前の事を訊くなと言わんばかりの表情。
「……俺がそんなに嫌か」
猛り狂う嫉妬に任せて口をつく言葉。
「嫌に決まってんだろッ!?こんなことされりゃ誰だって……ッ」
銀時にとってはこんなこと=拷問で。
だが。土方には銀時の台詞の前半部分しか耳に入らなかった。
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