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万事屋の仕事帰り……ふと耳にした笛の音。
浮き立つような……それでいて心細くなるような。
「……季節外れの祭の稽古か?」
微かに、だが確かに聴こえてくるその音色は銀時の心を捕らえる。
脳裏に浮かぶは想い人との幼き日々。
祭好きな彼と一緒に僅かな小銭を手に夜店を冷やかし。
夏の夜空を彩る花火にみとれ。
そして祭の後は何故だか分からない寂しさで……二人とも帰り道は無言だった。
そんな祭の季節は毎年必ずやってきて。
……足りないのは隣にいる筈の彼の姿だけ。
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