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   僕は倦怠を観念して生きているのだよ。  「秋!」  妹―――あいつの妹が家に帰ってから、ちょうど1週間後。  呼ばれた。俺の家の前にいるのは、あいつだった。  「これ、どう思う?」  あいつは、俺に写真を差し出した。  見慣れた場所、見慣れた顔、見慣れた学生服。  俺はそのとき、どんな顔をしただろう。唇の端が上がったのは自覚できたのだが。  「これが何か?」  「何か? じゃねぇよ。妹の部屋漁ったら見つけたんだよ」  いい年こいて妹の部屋に入ってんじゃねぇよ。しかも漁ってるし。  「これでお前脅すつもりなんじゃねぇかと思って。持って来てやったんだよ」  別に。脅されたから何だ。金がほしいならくれてやるが?  「そのとき何を要求するかだな。元に戻しておけよ。面白いじゃねぇか」  「―――お前がそういうなら、そうするよ」
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