桜空

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       ひらり、ひらり、  はらり、はらりと  ゆるやかに散り落ちる桜の花びら。  時折、強く吹く風が枝に咲く花を乱暴にさらってゆく。  空には満開の桜。  地には花びらが散り積もり、その狭間にあれば天と地との桜花に夢心地に酔わされる。  香りもまた強く鼻を刺激して、さらに酩酊を深めた。  そんな異界めいた桜の木々の下、土方と沖田はゆっくりと足を進めていた。 「あぁ、悔しいなぁ。  こんなにも見事な桜だっていうのに、近藤さんと一緒に見られないなんて!」  沖田が桜を見上げながら顔をしかめて言った。 「そうだなぁー。」  土方も桜に半分見とれた状態で沖田に同意した。 「最近の近藤さんはいろいろあって疲れているようだから、きれい花でも見たら元気になるんじゃないかと思うんですよ。  時間があったら連れて来てあげたいですね。」 「ここんところ毎日、近藤さんは芹沢さん達と一緒にあちこち奔走してるんだ、疲れもするだろうよ。  俺もそれは心配してはいるんだが、近藤さんは簡単に弱音なんざぁ吐きゃあしねぇからな…。  せめて、桜が散る前に時間が空きゃあいいが…。」 「早く落ち着きたいものですね。」  はぁ~、と大きくため息をついて、沖田は土方に顔を向けた。  
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