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「私達以外にもちらほら花見客がいるんですね。」
「こんだけの桜だぞ。そのほうが当たり前だろう。
しかしここは寺だ。騒ぐわけにはいかねぇがな。」
「そのほうがいいですよ~。
花見はきれいな花を見て楽しむものですからね。」
沖田が顔をしかめさせてしみじみと言った。
「ハッ!そりゃそうだ。
それにしても総司、お前は去年のアレが相当こたえてんだなぁ~。」
「こりごりですよ~。」
「ハハハ。寺で騒げば仏さんが驚いて起きちまうからな。」
「土方さん、それは仏様に失礼ですよ。」
「なんだ総司、怖ぇーのか?」
「なに言ってるんです。
だいたい今は昼ですよ。そういったものは夜が相場って決まっているんです!」
「わかんねぇぞ。見ろよ、この景色。まるで天国みてぇじゃねぇか。
間違えてあの世のもんがふらふらと出てきて混ざってるかもしんねぇぞ。」
「そんなことあるわけないじゃないですか…。
だいたいですねぇ、土方さんはいつも私をからかっておもしろがるんですから。
いい加減子供扱を止めて…、
あっ!」
沖田は突然言葉を切って、前方を指差した。
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