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状況が飲み込めないまま、その手紙を手にとり、中身を読み出した私はその手紙が母からの最後の手紙ということを知りました。
なくなる前日に、珍しく手紙を書こうと思ったのでしょうか、病状が悪化し、震える手で、書いたであろうその手紙。
まさか自分が死んだ後に私に届くとは思ってなかったのでしょう。
「今度来るときはもうちょっと長くいれるようにしなさい。」
「仕事ばかりしてないで、たまには東京を案内して頂戴。」
と、生きていたころには、うざいと思っていつもけんかになるような内容。
でも、その時、初めてわたしは、母は寂しかったんじゃないか、と思いました。
そんな手紙の中に、意外な事がかかれていました。
「今度帰るときは○○さんもつれて帰ってきなさい。渡したいものがあるから。」
その一行に、最後の最後になって、母が私たちのことを認めてくれたということを悟りました。
よくある話ですが、私が小さいころから母は、大切にしていた指輪を私に見せながら、
「おまえが独り立ちして、お嫁さんを連れてくるようになったらこれをその子にあげるからね。」
と言っていました。多分その事なんだろうと・・・
それから数日して、改めて現在の私の奥さんとなる人を始めて実家に連れて行き、正式に父と亡き母を前に、結婚する旨を伝えました。
今思うと、母はなんとなく自分の命のことを分っていたのではないかと思います。
だから、最後の最後に、あのような手紙を送ってきたのではないかと。
そう考えると、とても切ない気持ちになります。
もうちょっと冷静にちゃんと話し合えばよかったなと。
今では、2人目の子も無事生まれ、一人目もわんぱくざかりで、手に余るほどですが、でも、こうやって幸せな家庭をもてるようになったのも、母のおかげと、
そして、いつも草葉の陰から見守ってくれているからだろうと奥さんともども感謝しています。
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