第三章 体育祭

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「さっきから顔色悪いぞ、なんかあったのか?」 「別に何にもないわ」 「いや絶対あるだろう」 「…あのリリスという子の事とか、エリートの事とか…頭が痛いの」 「あぁ、そう言えばお前知らなかったんだったな」 そのまま俺に返答を返さないままルクも運動場に戻っていった。 「…短い時間で予想外の事が起こりすぎたな」 健を含むエリートへの世間一般の冷たい対応。 そしてそれが自分のクラスのレンなども例外では無い事。 なら俺は何のためにこの勝負を挑んだんだ? 結局どちらも同じ事をしてるんじゃないか。 それよりもエリートの方が圧倒的に数が少ない。 そんな少人数に向けられる冷たい対応。 前の世界にいた人々が俺にやっていた事と同じじゃないか。 そしてそれはエリートが一般人一人にやっている事と変わりはない…。 頭の中がごちゃごちゃしてきた。 「俺も行くか…」 時間も押しているので選手控え場所まで足を運ぶ事にした。 移動の最中、リリスの言っていた言葉がふと頭に浮かんだ。 『私と同じだから…』 なぜかこの言葉と、 『お前は魔王様と同じ救世主』 そしてこの言葉、 『俺達は遺伝子を操作された…作られた人間』 これらの言葉がなぜか脳裏に焼きついて離れなかった。
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