第四章 凛然たる使者

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『で、あなた、その子は何?』 『森で拾ってきた』 誰だ? 『拾っておいてなんだが目つき悪いガキだなおい』 『どうするのよ』 『いくあてないんだったらこの家においてやるんだよ』 『ふぅ、あんたどこまでお人よしなのよ』 『いいじゃねぇか、もしお前が逆の立場だったときを考えてみろ!』 思い出した…、俺を育ててくれたおじいさんとおばあさんだ。 『しかしこんな山奥に子供捨てるなんて一体どんな親なんだ』 『考えられないわね』 『こっから一番近い村までざっと百キロはあるぞ』 『まぁいいわ、お腹すいたでしょ?今暖かいもの作ってあげるから』 捨てられた俺を拾ってくれたおじさんとおばさん。 でも俺はやっぱり捨てられた人間だったんだな…。 『そういやお前名前は?…ないのか』 ? 名前が…ない? 『ひどい親だな…、名前すらも与えないとは…』 『でもやっぱり呼ぶときは名前ないと困るわね』 『そうだな…ん?お前なんか後ろの左肩にZEXCELL…ゼクセルって書かれているぞ』 『本当ね、それがこの子の名前じゃない?』 俺の左肩に? 確認した事なかった。 『ん?あぁこれか、地図だよ、この世界メギラウドの』 『この世界の名称もわからないの?』 …? 俺の前いた世界の名前は…メリエルだったはずだが…。
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