第四章 凛然たる使者

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…場面が変わったな…燃えてる、街や森が…いや世界全てが燃えて太陽のようになっている。 ここはどこだ? 『おぉ…ゼクセルか?もう目が見えなくてな…』 俺を育ててくれたおじさんが目の前で血まみれになって倒れている。 『お前だけはどうか生きて欲しかったが…もう無理そうだ、もうじき世界は滅ぶ』 世界が滅ぶ? 『昔勇者と言われたわしがこのザマだ、年は取りたくないもんだ…』 炎が俺とおじいさんを包み、逃げ口を塞いだ。 『もし、この世界にまだ希望があるのならば…、俺が教えた気を使って…世界を…』 その瞬間、炎が俺とおじいさんの間に割って燃え盛った。 気を教えてくれたのは…そう言えばおじいさんだった。 …この後どうなったんだ? 場面が変わり、目の前にはおじいさんであったはずの骨と、焼けて何もかも無くなった野原が広がっていた。 …俺はなんで生きているんだ? 『勇者様!世界を脅かす魔物をどうか倒してくださいませ!』 再び場面が変わり、俺が魔王を倒しに行く旅の始まりの時が映し出された。 …おかしい。 誰が見ても滅んでいた世界、おじいさんがもうすぐ滅ぶとも言っていた世界が…。 どうしてこうも活気があるんだ? 思い出せない…。 俺のおじいさんが死んだあの日から…一体何があったんだ?
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