プロローグ

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 平和のために勇者は世界の頂点に君臨する魔王を倒した。  魔王を倒した勇者は盛大に歓迎され、その世界の英雄として名を残す事になる。  だが、勇者が英雄として称えられていたある日、村の一人の男がこんな事を言い出した。 「魔王を倒したって事は勇者様は魔王以上の力を持ってるんだよな? だったら……勇者様の気分次第で人類を滅ぼすなんて簡単な事じゃないのか?」  そんな……勇者本人がするはずもない馬鹿げた噂は瞬く間に広がった。 「勇者を殺せ」 「人里に近寄るな」 「勇者を怒らせたら容易く殺されてしまうぞ」 「人の形をしている分、モンスターよりも厄介だ」  噂は悪い方向へとどんどん広がり、勇者と呼ばれた世界を救った若者は、第二の魔王と呼ばれるまでに追い込まれてしまう。  だが……勇者当本人は心優しく、世界を救い酷い戯言を言われてる事も気にもせず、人々に怒って手を加えよう等とは考えたりもしなかった。  だが……自分がいる限りこの世界は本当の平和を迎えられないのもまた事実。  そう考えた勇者は、この世界とは違う、別の次元の違う地へと旅立とうとするのだった。
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