第一章 魔法と科学と学園と

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 何も見えない空間を漂い続けてどれくらいの時間が経過しただろう?  このままずっとこの空間に存在し続けるのではないだろうか?  丁度そんな事を考えた時、俺の体が突然一点の光へと吸い込まれる。そして間もなく次の瞬間、背中に強い衝撃が走った。 「こっちよお母さん、急に空から降ってきたの」  ……女性の声がすぐ近くで聞こえるが、さっきまで何も見えない空間にいたので視界がかすみ、ずっと無重力間にいたため体が上手く動かない。  何よりずっと眠らず起きていたため……眠い。 「はい? 空からゴミ箱に落ちたの? なんかのお笑い番組の撮影とかじゃなく?」 「うん、いきなり何もない所から落ちてきた」 「ゴミ箱に入るなんて運悪いわね……魔法の練習にでも失敗したのかしら? でもまあ放っておくわけにも行かないから連れて行きましょうか」 「うん、そうしたほうがよさそうだね」 「じゃあ手のほう持って。私は足の方を持つから、このまま車に乗せてお持ち帰りしましょう」 「お母さん。言い方が下品」  二人の女性らしき人物は俺の体を持ち上げると、かすんで良く見えないが、何やら乗り物らしき物体の中に俺を運んだ。  すると少しずつ意識が薄れ、これが実は眠気じゃなくて純粋に疲れと異世界移動時の衝撃によるものだと気付いた時、俺は何も考えられなくなった。 「……どこだここは?」  意識が戻り、目を開くと、俺は見覚えのない殺風景な部屋のベッドの上で横になって眠っていた。  睡眠をしっかりとったおかげか頭がすっきりしており、見慣れないベッドと机、それとカーテン以外何もない殺風景な部屋を視界に映した時、ここが異世界だとすぐに理解する。  部屋の中といえど、俺の住んでいた世界とは明らかに作りが違う。  こっちの世界の方がなんというか……綺麗。大雑把だが、それだけでも俺が世界を移動したという事に関しての判断材料にはなる。 「あ、起きてる」  そして現状を確認していると突然部屋の入口のドアが開き、一人の首あたりまで髪の毛を伸ばし、髪色と瞳の色が茶色で、まだ幼さを感じられるが鼻筋の通った端正な顔立ちをした少女が中へと入ってきた。
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