第一章 魔法と科学と学園と

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「お母さーん、起きたみたいだよ」 「オッケー、今行くー」  部屋の中にまで大きく聞こえる返事が下の階層から聞こえた後、全力で階段を上がってきたのか軽い地響きのような振動が伝わり、少女の母親らしき人物が部屋の中へと顔を出す。 「あらあら、もう起きて大丈夫なのかしらん?」  母親と呼ばれる人物は、その娘と思われる女性と同じ髪色と瞳を持っており、髪型はポニーテール。  やはり親子なのか顔立ちは似ていて、母親の方も端正でしかも若作りな顔立ちをしていた。 「まぁ疲れてると思うけど、私達としても聞きたいことがいくつかあるから下のリビングまで来てもらえるかしら?」  ……疑問を持つのも当然だ。何で俺をこの家に運んだのかはわからないが、恐らくこの親子は世界に到着した瞬間を見ていたのだろう。  それに服装だって俺と二人とは全く異なる。  とにかく介抱してもらった手前従わない訳にもいかず、母親と少女に呼ばれる若すぎる女性の指示通り、俺は一階にあるこの家のリビングへと移動した。 「とりあえず自己紹介だけしておくわね、私はマキ=ミフィール、マキって呼んでくれたらいいわ」  母親と思われるマキという人物がそう語る。名を名乗った事から俺に対して手荒な真似をする気はないようだ。 「それでこの子は私の一人娘の……ほら自分で自己紹介する」 「えっと…始めまして、ルク=ミフィールです、よろしくお願いします」  先程から、俺の顔とマキの顔を交互に見ながら、何やら不満そうな顔をしていたマキの娘はルクという名を俺に明かす。不満げな顔なのは何故だろうか? 「ちなみにルクは十六歳! あ、私は秘密で」  聞いてない……と言いたい所だが、マキの年齢はどうにも気になる。どう見ても娘のルクと二つ違いにしか見えないからだ。  でも母親というくらいだからルクの倍は年齢があるはずだが……うん、見えない。 「俺も……十六歳だ」 「あら、よかったわねルク、仲良くなれそうじゃない」 「そういうのやめてよ、お母さん……」 「それじゃあ本題に入るけど、あなたは一体何者? 転移魔法なんて高度な魔法を使える人間なんてそう多くない」  転移魔法? 俺は魔力石を使ってこの世界に来たのだが……転移魔法とは何だ?  というより魔法? 俺の世界に住んでいた魔族には使う奴はいたが……人間が使うという話しは聞いた事がない。
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