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  ある女とすれ違った。 耳付きフード付きのマフラーの左側先端、香水でもふってあるのか揺れると独特のマニアックな香りが漂う。 色で例えるなら紫を連想させるような、濃いのにキツくない調度好いものだ。 でもそれは、あの女の服装から脳裏に色が染み付いただけなのかもしれない。 なにせ紫、赤、黒、グレー、白を主にコーディネートされた、世に言うパンクやゴシックロリータを目指したようなものだったから。所々に髑髏を模した刺繍やプリントがあったり、安全ピンが刺してあったりと、とても女の子らしい服装とは言いがたい。 そんな格好をする輩は大抵は非常識だったり、むやみやたらに香水を振りまいてみたり、煙草や酒に手を付けたりと不良めいた行動をしているものだ。 だが、そんな偏見は彼女を見た瞬間には一掃された。 何故ってそりゃ、もちろん、いや多分、 彼女に一目惚れをしたんだと思う。
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